会社の法務

 会社法(平成17年法律第86号)が平成18年5月1日に施行されました。この法律の施行により、会社に関する規定は商法から分離されるとともに、今までの株式会社という法人(特に内部統制機構)が大きく規制緩和という流れに沿った形で変更されたことは大抵の方ならご存じだと思います。また有限会社制度がなくなりました。
 この会社法は今までの法律の作り込みとかなり趣を異にし、法律専門家でさえも読み解くのに一苦労しています。会社法の難しさは、日本経済新聞に特集がなされていたり、書店にありとあらゆる会社法の解説本が並んでいることでその難解さを知ることが出来るでしょう。

 会社法ですが、実は理解すると御社の事業運営を大きく手助けしてくれるたくさんのヒントが散りばめられています。(なかなかそこにたどり着くのは難しいのですが・・・)

 以下に、そのヒントをいくつかあげて行きます。
 ただ、御社の事業運営を手助けしてくれるヒントはこのホームページに記載されていることだけではありません。また各会社によって様々な事情がございますから、これらはご相談して頂けなければ当事務所として最良のアイデアを提案できないことがありますのでご了承下さい。

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最低資本金制度の廃止

 旧商法時代の株式会社は、資本金の額は1000万円を下ることが出来ないとされていました。
 会社法445条の理解によれば、出資額は1円以上である必要があるので、資本金の額が1円という株式会社が許されることになります。これが世間一般に言われる「1円会社」です。

 最低資本金制度の廃止は、安く新規に株式会社を設立する場合のメリットだけではありません。

 既存の株式会社において最低資本金制度の廃止を上手に利用する方法として、欠損金を計上している場合に、この欠損金の填補を目的として「資本減少」手続きを行います。
 旧商法時代でしたら、資本金を1000万円以下にすることが出来ませんでしたから、欠損填補の手段として資本金を減少させるということが出来ない会社が多かったのです。しかし、会社法下では欠損填補の手段としてすべての株式会社が下記Cを選択できるようになりました。

 @単純に募集株式を発行する
 A事業主等が会社に金銭を貸し付けしている場合には債権放棄し、債務を圧縮する
 B会社の借入金を現物出資して募集株式を発行する
 C資本金を減少する


注)欠損金は翌期以降に繰り越して翌期以降の利益金と相殺することが出来ます。よって、
  欠損金が発生したから直ちに欠損填補が必要になるわけではありません。

 さて、繰り越した欠損金が何年間も積み上がると(赤字つづきの状態)、いずれ繰越損失の総額が、資本金と法定準備金の合計額を上回ることになります。これを「債務超過」といいます。
 上記(注)では、欠損金が発生したからといって直ちに欠損填補が必要になるわけではないと書きました。しかし会社の財務状況・事業計画等を総合的に勘案の上、欠損填補の適切なタイミングを考えなくてなりません。
 何よりも、赤字を出している事業の立て直しを急ぐことが先決です。

類似商号制度の廃止

 旧商法時代における類似商号規制下において、定款の事業目的を必要以上に細分化し、同一の営業に該当しないことをもって類似商号規制に抵触しないようにする傾向があったことから、会社法では、類似商号の判断につき会社の目的に具体性は問われないこととされました。
 また、会社法では旧商法20条に相当する規定が存在しないので、同一商号について同一市町村内における不正競争目的の推定が働かなくなりました。

 以上により、会社が商号を選定するにあたって、かなり自由に商号を選定することが出来るようになったとともに、本店所在地の選定についても以下のようなことが出来るようになりました。

 今まで、親子(グループ)会社で似たような名称の商号を使っていたために、両社の本店は同じビル内なのに、1社は登記簿上の本店所在地を全く別の場所に置かなければならない弊害を除去することが出来るようになりました。

払込保管証明の義務の廃止

 旧商法時代、会社設立・新株発行・新株予約券発行・新株予約権行使等の金銭による払込を行う場合、金融機関発行の「払込金保管証明書」を発行してもらわなければ商業登記を行うことが出来ませんでした。(有料)

 会社法下では、募集設立時を除いて、払い込みする場所として決めた預金口座の預金通帳のコピーと会社代表者が作成した証明書を合綴した書類を用意すればよいことになりました。(費用はコピー代程度)

 この改正により、経費を削減できることが出来ます。

機関設計の柔軟化

 会社法では、株式会社の基本形態を旧有限会社と株式会社の混合型にしました。株主総会と取締役が1名いれば良いというのが基本形態です。どのような機関を会社に設置するかは、そのほとんどを会社の定款自治に任せることとなり、これを機関設計の柔軟化と呼びます。
 以下に、株式会社の機関をご紹介します。

◆株主総会◆
 すべての株式会社で設置が義務付けられています。

◆取締役◆
 すべての株式会社で1名又は2名以上置かなければなりません。
 取締役会設置会社は3名以上置かなければなりません。また非公開会社の場合、取締役となる資格を株主に限定することができます。

◆特別取締役◆
 取締役会設置会社(委員会設置会社除く)で取締役が6名以上かつ取締役のうち1名以上が社外取締役の場合に、取締役会は特別取締役による議決の定めを設けることが出来ます。(正確には機関ではありません)
 重要な財産の処分及び譲受け並びに多額の借財について、この特別取締役の決議で決定することで、会社の機動性を確保します。

◆監査役◆
 非公開会社では設置は任意です。ただし、取締役会設置会社(非公開かつ会計参与設置会社を除く)では、原則として設置しなければなりません。
 非公開会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社除く)では、監査役の監査権限を会計に関するものだけに限定する出来ます。また、非公開会社においては、監査役となる資格を株主に限定することができます。

◆監査役会◆
 公開大会社(委員会設置会社除く)では必須の機関です。3名以上の監査役を必要とし、うち半数以上は社外監査役でなければなりません。

◆会計監査人◆
 大会社及び委員会設置会社では必須の機関です。資格は公認会計士・監査法人に限られています。
 株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類や連結計算書類を監査する機関です。

◆会計参与◆
 すべての株式会社で設置は任意です。資格は、税理士・税理士法人・公認会計士・監査法人に限られています。
 取締役と共同して、計算書類の作成・説明・開示などを行う機関です。

◆委員会◆
 監査役設置会社は、委員会を設置できません。また、取締役会及び会計監査人を設置しない場合にも委員会を設置できません。
 代表執行役・執行役・指名委員会・監査委員会・報酬委員会で構成され、各委員会は3名以上の取締役(過半数以上は社外取締役)で構成されます。


 特別取締役・監査役会・会計監査人・委員会については、かなり規模の大きな会社を想定した機関ですから、大部分の株式会社はその必要性に乏しい機関と言えます。

 具体的に、機関設計の柔軟化を活用する方法は、こんな時 どうする?をご覧下さい。

株券不発行の原則

 旧商法下では
  原則→株券発行
  例外→株券不発行 でした。

 現在の会社法下においては、
  原則→株券不発行
  例外→株券発行  になりました。


 旧商法時代から続く株式会社については、原則株券を発行する取り扱いですから、今後、募集株式の発行・株式の併合・株式分割等の新たに株券を発行しなければならない場合、その手続きが煩雑でかつ費用がかかるものでした。
 また、株主が株券を紛失した場合の手続きも会社側で新たに名簿を作成しておかなければならず、株券が存在することが会社の事業運営に支障をきたす場面がありました。
 中には、株券発行会社でありながら実際には株券を発行していない会社も存在します。(これは明らかに違反です)

★株券発行会社から株券不発行会社への変更★
 株券の管理費用の削減、株券発行会社でありながら実際には発行していなかった場合の違反状態からの脱却のため、ただちに株券不発行会社への転換を図りましょう。
   次の順で行います。
    (1)株主総会において定款変更決議
    (2)株主等に対する通知・公告
    (3)定款変更の効力発生日経過
    (4)登記手続き