①曖昧な表現はしない  
遺言の目的・内容が不明確な場合、これを明らかにする必要があり、この遺言の解釈について争いが生じる恐れがあります。争いが生じた場合は、最終的には裁判所の判断に委ねなくてはなりません。  
また遺言の解釈に争いが生じていなくても、不動産の相続手続(登記手続)については、遺言の内容が曖昧な表現だと、遺言どおりの登記を実現することが出来ない場合がありますのでご注意下さい。

良い例   
●A不動産を相続人甲に「相続させる」   
●A不動産を相続人甲に「遺贈する」   
●A不動産を相続人甲及び乙に各2分の1の割合をもって「相続させる」

悪い例   
●A不動産を相続人甲に「与える」「取得させる」「譲渡する」     
これでは相続なのか? 遺言による贈与(遺贈)なのか? 判断がつきません。   
●A不動産を相続人甲及び乙に「相続させる」     
複数の人に財産を帰属させる場合は、かならず持分割合を記載すべきです。

②「家」制度は廃止されています  
日本の風習・伝統的な考え方で「家」の制度があります。旧民法の時代ですと、この考え方がありましたが、現行民法では「家」と言う考え方は取り入れられていません。
よって家督相続という制度はありません。  
しかし法律がどうであれ、「家」を継ぎ「姓」を絶やしたくないという心情をお持ちの方も多いでしょう。また、姓を継いだ人に財産を残したいという気持ちを持っていらっしゃる方も多いのでは?  
しかし「家」制度を念頭に置いて遺言を書いたために、その遺言が無効と判断されかねない場合がありますので注意が必要です。以下に遺言が無効とならないようにする遺言作成の技術をご紹介します。   

(1)法定相続人はいったい誰なのかをリストアップする   
(2)相続人には「相続させる」という言葉を使う   
(3)相続人ではない者には「遺贈する」という言葉を使う   
(4)「誰に」「何を」相続又は遺贈させるかを具体的に表現し、省略表現は避ける   
(5)全てを遺贈するときは「包括遺贈する」という言葉を使う
 

実は、以上の5点を守ると遺言の無効を回避できる場合が多いのです。ただし、具体的な内容によっては他の相続人から遺留分の請求を受けて遺言の内容を完全に実現することが出来なかったり、公序良俗に反して無効になったりする場合がありますので、詳しくは専門家に相談する必要があります。

③財産の表示は具体的にする  
遺言の効力の発生は「遺言者死亡の時」です。遺言者自身は自分の財産状況を一番よく知っていますから、遺言を書くときには気付かずに、財産の表示を中途半端に表現してしまったことが、遺言の効力発生時に問題となる場合があります。  
それは、遺言の内容を実現する人(遺言執行者など)は、遺言者の財産を全て把握できるとは限らないという事実です。  
遺言執行者が相続人以外の第三者である場合や遺言執行者がいない場合でも、遺言者と同居していない相続人がいる場合に、遺言者と同居している相続人が遺言者の財産隠しを図る可能性 があります。 また、遺言執行者は遅滞なく「相続財産目録」の作成が義務づけられていますから、遺言書に具体的な財産を表示しなければ、遺言の内容の実現に支障をきたす場合があります。   

●不動産の場合     
→登記事項証明書の通り記載する   
●預貯金の場合     
→金融機関名・支店名・預貯金の種別を記載する           
(出来れば口座番号も特定すると争いを防ぐ効果が増します)   
●有価証券の場合     
→有価証券の種類・数(金額)を記載する   
●自動車の場合     
→車名・ナンバー等 自動車登録の内容がわかるように記載する   
●その他の動産(高価な動産の形見分けでの争いを予防します)     
→動産の種類・色・保管場所・原材料・大きさや製作者などで特定する

④遺言執行者は第三者に依頼する  
まず、遺言執行者が当初からいない場合の遺言の実現方法ですが、利害関係人の請求によって家庭裁判所が選任することになり、この選任を受けた遺言執行者が遺言の内容を実現してゆくことになります。  
しかしこれでは面倒です。そこで、遺言の中で遺言執行者を決めておけば直ちに遺言の実現に向けた行動をとることが出来ますから処理の手間が省けます。  

遺言執行者を相続人や利害関係人の中から選任した場合、遺言の内容についておもしろくない相続人等より執行に関してあらぬ疑いがかけられたり、遺言執行ついていたずら程度の妨害をされることもあるでしょう。  
これらを回避するには遺言執行者を公正な手続を行うことが出来る、第三者に委託した方が良いのではないでしょうか。遺言の執行手続きがスムーズに進みます。  

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