会社法の下では有限会社の制度は廃止されました。よって、現在は新たに有限会社を設立することは出来ません。  
既存の有限会社については、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(以下「整備法」と表示)によって、『特例有限会社』として存続することが出来ます。
(整備法2)  

これに伴い、特例有限会社は会社法上の株式会社と旧有限会社法上の有限会社の2つの特徴を併せ持った特殊な会社となるため、すべての会社法が適用されなかったり、特則や経過措置がとられ、その法律実務は複雑なものになってしまいました。  

そこで、会社法及び整備法下における特例有限会社がどのような特徴を持つのかを解説します。

★★商号★★

商号中に『有限会社』という文字を用いなければなりません。他種類の会社(株式会社・合名会社・合資会社・合同会社)と誤認されるような文字を使用することも禁止され、これに違反した場合は100万円以下の過料に処されます。(整備法3条)

★★株主★★

旧有限会社で「社員」と呼ばれていた出資者は、「株主」になります。これまで持っていた出資口数は株式数と見なされます。(整備法8条)

★★株式の譲渡制限の定め★★

発行する全部の株式の内容として、次に掲げる定めがあるものと見なされ、この定めと異なる内容の定めを設ける定款変更が出来ません。(整備法9条)
①株式を譲渡により取得することについて会社の承認を要する旨
②会社の株主が株式を譲渡により取得する場合には、会社が承認したものとみなす旨

★★株主総会の特則1★★

総株主の10分の1以上を有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会招集の請求をすることが出来ます。(整備法14条) 要件となる議決権の保有率は高いものの、6ヶ月以上株式を保有していなければならないという保有期間制限がないのが特徴です。

★★株主総会の特則2★★

定款変更などをする場合の特別決議の決議要件が株式会社より加重されています。原則、総株主の半数以上かつ総株主の議決権の4分の3以上にあたる多数をもって決するとされています。(整備法14)

★★機関設計の不自由★★

1人以上の取締役を置かなければならないほか、定款の規定によって監査役(但し会計監査権限のみ)を置くことが出来ます。(整備法17条・24条) しかし、取締役会・会計参与・監査役会・会計監査人・委員会といった機関設計を自由に行うことは出来ません。(整備法17条)  
また、解散時に清算人会を置くことも出来ません。(整備法33条)

★★役員の任期★★

役員の任期を定める必要がありません。(株式会社は最長10年)仮に、任期を定める場合でも制限がありません。

★★計算書類の公告★★

株式会社と異なり、計算書類を公告する義務はありません。(整備法28条)

★★みなし解散★★

会社法に定めのある、休眠会社のみなし解散の規定は適用されません。(整備法32条) これは、従来と同じ扱いですね。

★★企業再編★★

吸収合併消滅会社又は吸収分割会社となる企業再編手続き、持分会社への組織変更のみ可能です。

 

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

011-758-0620

<受付時間>
平日 9:00~17:30

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

ごあいさつ

司法書士 中川 剛洋

お客様の声にじっくりと耳を傾け、その問題の根幹(原因)を早期に把握することで、さまざまな問題解決に向けた最良の手段をご提案することをモットーにしております。
よろしくお願いします。

中川(なかがわ)
司法書士事務所

住所

〒001-0045 札幌市北区麻生町5丁目8-20 麻生ロイヤルハイツ101号

アクセス

地下鉄南北線 麻生駅1番出口より徒歩2分です。

受付時間

平日 9:00~17:30